訪問入浴介護とは?

専用の浴槽を自宅に持ち込み、介護職員が入浴の介助を行う介護サービスです。要介護者が自立した日常生活を営むことができるよう、自宅での入浴の介助を行うことによって、利用者の身体の清潔の保持、心身機能の維持等を目的にしています。1971 年に「寝たままの姿勢で入浴が可能」な特殊浴槽が開発され、2006 年に介護予防訪問入浴介護サービスが開始されました。訪問入浴介護は、訪問系のサービスの中でも重度の要介護者を中心に、精神的な安定と身体の保清を果たす役割を大きく担っています。

訪問入浴がおすすめの方

高齢者の入浴は、転倒やヒートショックなどのリスクが高いため、十分な注意が必要です。安心・安全に入浴するために、次の様な方におすすめのサービスです。

  • 自力で浴槽の乗り降りや体を洗うことが困難な方
  • 認知症があり、入浴中に介助が必要な方
  • 家族だけでは体力的・技術的に介助が難しい方
  • 浴槽が狭くて介護職員が入りにくいなど自宅で入浴が困難な方

訪問入浴介護を利用するには

訪問入浴は、介護保険で利用できるサービスです。そのため、まずは市区町村の介護保険課に要介護認定の申請を行い、要介護1~5の認定を受ける必要があります。また健康状態に問題がなく、医師から入浴を許可されている方が利用できます。

要支援1・2の方でも、「自宅にお風呂がない」などの条件を満たす場合に、「介護予防訪問入浴介護」というサービスもあります。

要介護者とは、介護保険制度において、要介護認定の結果、要支援1〜2、要介護1~5と認定された人を指します。介護保険制度は高齢化社会における介護問題を支えるために、2000年に創設された公的保険制度です。寝たきりや認知症等で介護を必要とする状態になった方や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要な方のために、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができきます。

区分要介護状態
要支援1 基本的な動作は自分でできるが、家事や移動などに多少のサポートが必要な状態
要支援2 基本的な動作に部分的な介助が必要な状態
要介護1 入浴や排せつなどの基本的な動作に、部分的な介助が必要な状態
要介護2 入浴や排せつなどの基本的な動作に、全体的に介助が必要な状態
要介護3 入浴や排せつなどの基本的な動作に加え、家事や移動にも介助が必要な状態
要介護4 ほとんどの動作に介助が必要な状態
要介護5 寝たきりの状態であり、全ての動作に介助が必要な状態

利用開始方法

訪問入浴を利用開始するには以下の手順で行います。

1 要介護認定を受ける
訪問入浴を利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は、市区町村の介護保険担当窓口に申請することで受けることができます。
2 ケアマネジャーと相談
居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談し、ケアプランを作成してもらいます。ケアプランには、利用者様の介護サービスの具体的な内容が記載されます。
3 事業所を探す
訪問入浴を依頼する事業所を探します。事業所は、ケアプランに基づき、複数選択し比較検討を行うことをおすすめします。
4 事業所と契約する
事業所が決まったら、サービス内容や料金の打ち合わせを行い、問題がなければ契約書を交わします。事業所によりますが、契約前に滞りなくサービス提供するための自宅を下見を行う場合もあります。
5 訪問入浴を利用する
契約が完了したら、訪問入浴を利用することができます。初回訪問時に、スタッフが利用者様の身体状況や入浴介助の方法などを確認します。その後、定期的に訪問入浴が行われます。

備えておくもの

入浴に必要なタオルなど はすべて事業者が準備をします。利用者様がご用意いただく物は入浴後の着替えのみですが、お好みのシャンプーなどがあれば備えておきましょう。初回利用時に準備する物について不明点があれば、訪問入浴介護事業者に連絡するか、担当のケアマネジャーにご相談ください。
また入浴は室内で行われますので、浴槽を置くスペースを確保しましょう。浴槽の大きさは一般家庭にある浴槽とほぼ同じくらいの大きさで、おおよそ畳2枚分くらいのスペースがあれば設置可能です。

訪問入浴当日の流れ

実際訪問入浴をご利用する当日の流れをご紹介します。準備から片付けまでの所要時間は合計50分前後が一般的です。入浴に約10分、健康チェックと準備、片付けにそれぞれ15分~20分程度が目安です。

約5分

訪問と浴槽の運び入れ

予定時間に職員がご利用者様の自宅を訪問し、入浴介助で使用する浴槽や物品を運び入れます。

約5分から10分

健康状態チェック

ご利用者様の体調確認、体温・血圧・脈拍などのバイタルサインチェックを行います。

約5分から10分

お湯張りと入浴準備

健康チェックの結果、入浴が可能であれば、お湯を張り、脱衣の準備を始めます。
血圧が高い・発熱があるといった体調が悪い場合は、清拭または部分浴に切り替えたり、担当医に指示を仰ぐ場合もあります。

約10分

入浴(洗髪・洗身)

脱衣後、希望に従って介護スタッフが髪や体を洗い、その後はゆったりとお湯につかってリラックスします。入浴の仕上げにシャワーで洗い流し、ベッドなどへ移動します。

約5分〜10分

着替え・健康チェック

着替えを行いながら、湿布を貼ったり軟膏を塗ったりするなどの保湿ケアを行います。入浴後、看護スタッフが体温・血圧・脈拍などを計測し、体調の変化や異常がないか確認します。

約5分〜10分

片付け

健康チェックと同時進行で、介護スタッフが片付けを行います。

よくあるトラブル・デメリット

訪問入浴は、訪問介護の身体介護サービス(入浴・排せつ・食事など)と比較すると利用料金が比較的割高です。とはいえ、訪問介護の入浴介助と比べると、訪問入浴はご利用者様の負担も少なく安全に入浴が行えるため、妥当な料金と考えられます。

訪問入浴は、入浴車でご利用者様の自宅へ伺いますので、駐車スペースが必要になります。万が一駐車スペースがない場合でも、駐車許可証を発行するなどの対応方法があります。

訪問入浴は、ご利用されるご本人だけではなく、介護をされるご家族のにもおすすめのサービスです。 訪問入浴を利用することで、双方がより快適で充実した生活を送ることができます。

訪問入浴について詳しく知りたい方は、お住まいの市区町村の介護保険課や介護福祉サービス事業者にご相談ください。

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