訪問入浴事業立ち上げ

のポイント

訪問入浴のご利用者は社会保障である介護保険を利用し、料金の1〜3割の負担で介護サービスが受けられます。介護保険サービスを提供した事業者は国保連(国民健康保険団体連合会)に残りの7〜9割の料金を請求します。国保連は国の公的機関であるため、担保が保障されており、債権回収が確実です。

介護保険請求の流れ

介護事業所の立ち上げには、介護事業者の指定を受ける必要があります。訪問入浴事業を開設するには満たさなくてはならない条件があり、それらの要件を満たしていないと事業所の指定を受けることができません。指定の取得により「指定事業所」となり、ケアプランに基づき介護サービスを提供した後に、介護報酬を請求できるようになります。
実際に事業を開設するためにまず何を用意したらいいでしょうか?開業するために必要な指定要件を順に解説していきます。

訪問入浴開業指定要件

法人格の取得

訪問入浴事業を行うためには、まず法人を設立する必要があります。法人の種類としては、株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人、医療法人などがあります。

人員基準

訪問入浴介護事業者は、事業所ごとに常勤の管理者1名、看護職員(看護師または准看護師)1名以上、介護職員2名以上を置かなければなりません。管理者が介護職員を兼用すれば最低3名で事業を始められます。また、管理者、介護職員は特に資格要件はありません。
※看護職員、介護職員のうち1名以上は常勤の者であることが必要です。

サービスの質の向上や請求業務、人事、労務などの管理業務と利用者の入浴を介助します。

入浴前・入浴後に行う利用者の健康状態のチェックや入浴の介助します。

浴槽の設置や給湯の準備などを行い、利用者の入浴を介助します。

設備基準

事業所を設け、浴槽等の設備及び備品等の準備が必要です。

  • 専用の区画
  • 事務室
  • 相談スペース
  • 浴槽を洗うスペース
  • 浴槽等の備品・設備等を保管するために必要なスペース( 駐車場)
  • 設備・備品
  • 浴槽(身体の不自由な者が入浴するのに適したもの)
  • 訪問入浴車(入浴設備を備えたもの)
  • 感染症予防のための備品
事務所イメージ

他の事業と明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室も可能です。
現場で使用する浴槽が洗える風呂場があれば1LDKや2DKで始められます。

運営規程

利用者が安心してサービスを受けられるために、訪問入浴事業者は事業所ごとに、運営規程を作成しなければいけません。以下の内容等を具体的に記載します。

  • 事業の目的や運営の方針
  • 事業所の名称等
  • 職員の職種、員数及び職務内容
  • 営業日及び営業時間
  • 事業の内容及び利用料金等
  • 緊急時等における対応方法
  • 通常の事業の実施地域
  • 虐待の防止のための措置に関する事項
  • サービスの利用にあたっての留意事項

指定申請

法人を設立したら事業を実施するための許可をもらうために、都道府県知事に対して、訪問入浴介護事業の指定申請を行う必要があります。指定申請書以外に組織体制図や事務所の平面図、介護給付費を算定するために必要な届出である介護給付費の算定に係る体制等状況一覧表など多数に渡ります。

数多くの提出書類があり、自力で開設をしようとしてもスムーズにいかず、申請漏れや期限切れというケースも多くあります。訪問入浴事業の開業を決めたら、申請書類や提出期限を各指定機関のホームページなどで確認し、万全な準備でスムーズに進められるよう取り組むことが必要です。

訪問入浴介護事業申請手続きの流れ

介護事業の開業にはいくつかのステップがあり、地域や状況によって多少異なる場合がありますが、開業までの期間は、半年~1年程度かかると言われています。ここでは指定申請から事業開始までの一般的な流れをご紹介します。

1 事前準備
- 事業の内容、運営体制、利用者へのサービス提供計画などを詳細にまとめた事業計画書を作成します

- 看護職員、介護職員など、必要な人員を確保し、資格や経験を確認します

- 入浴車、車庫、事務所など、必要な施設・設備を整備します

- 事業運営に必要な資金を確保します
2 法人設立
株式会社や合同会社など法人形態を決定し、法人登記をします
3 申請書類・添付書類の準備
資格の証明書等、各都道府県が定める申請書類を準備します
4 申請
準備した書類を、事業所を置く予定の地域の所轄の福祉事務所に提出します
5 審査
提出された全ての書類に基づいて、事業計画の妥当性などの書類審査が行われます
6 指定書交付
審査の結果許可された場合、指定書が交付されます
7 事業開始
必要な手続きを行い、事業を開始できます

開業資金について

訪問入浴介護事業の開業資金は事業規模や地域・設備投資などによって大きく変動しますが、一般的に700万円~1,200万円程度が目安とされています。

開業資金の内訳

主な開業資金の初期費用は以下の通りです。

  • 会社設立費用
  • 定款作成や登記申請の際の登録免許税など
  • 株式会社では約30 万円
  • 合同会社、一般社団法人では約10 万円
  • 設備・備品費用
  • 移動入浴車
  • 浴槽
  • 事務用品(パソコン、電話、FAX など)
  • 車庫
  • 事務所
  • 運転資金
  • 人件費
  • 家賃、光熱費
  • 車両維持費
  • その他
  • 広告宣伝費
  • 研修費 等

開業資金の調達方法

開業資金は、自己資金とあわせて以下の方法で調達することができます。融資を受けるためには収益見込みや事業計画書などの書類の提出が必要です。

  • 銀行などからの借入
  • 日本政策金融公庫の融資:中小企業向けの政府系金融機関の融資制度
  • 助成金や補助金:各自治体や民間団体が提供する助成金制度

専門業者に相談することで複雑な書類の準備の手間が省かれ、開業資金を抑えられる可能性が高くなります。事業の初期費用を抑えることによって、安定的な運営に繋げることができます。開業をご検討されている方は事前にしっかりと情報収集を行い、専門家に相談をするのがおすすめです。

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